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2007.09.01

教育論

 最近、清水義範さんの2冊の新書(「行儀よくしろ。」「『大人』がいない...」)を読んで、なるほど、と思うところがあり、教育論についてひとこと書きたいと思う。
 清水さんの論は、日本の子供の学力低下が言われているが、テストの点数だけを問題にするのではなく、総合的な文化の継承が出来ているかが問題なのではないか、教育とは学校だけに責任があるのではなく、日本社会全体に責任があるのではないか。社会が豊かになり子供を教育すべき大人も「子供」になっているのではないか、という内容に(かなり乱暴で稚拙な要約ではあるが)まとめられるかと思う。
 最近の世間の論調は、日本の学力低下の原因は文部省(文部科学省)が推進した「ゆとり教育」のせいであるので、直ちに義務教育カリキュラムを変えなければならない、といったところだろうか。確かに一面でそういう部分もあるのかもしれないが、清水さんの言う通り、子供の教育には学校だけでなく、親や社会全体が影響を与えている部分が大きい。学校はテストの点を良くする方法や、集団の中での個人のありかた、と言ったことは学ぶことは出来るが、マナー、特に日本文化のなかのたちふるまい、といった部分は、学校以外のコミュニティや家庭で学ぶケースが多いのも事実だ。
 子供の頃は、テストでいい点をとることが頭のいいことだ、と勘違いしてしまう。大人になっても知識のあることが頭の良いことだと思っているヒトは意外と多い。しかし大学に行ったり、社会に出てみてわかるのは、そうした「頭の良さ」は一面的なものだということである。本当の賢さというのは、論理的思考力であったり、無から有を生み出す能力であったり、問題の本質を見抜く能力であったり、答えがひとつではない問題を解決していく能力であったりと、「総合的に考える力」である、ということだとわかるのである。そして人間的な魅力、ヒトとしての力を感じるのは、それだけではなく、いざという時の立ち振る舞いやマナーといった「文化」を身につけていることだったりするのである。
 学校の教育制度を改革すれば、すぐに子供の力が向上する、というのはあまりにも短絡的な発想である。せいぜいテストでいい点をとれる子を増やす程度である。それよりも、この国の大人の力を上げなければ日本全体の文化の底上げは不可能なのである。義務教育の改革を考えるのであれば、それとあわせて、私も含めて、大人が大人としてより成長していく方法を考えなければならない。
 清水さんも言っているが、年長者は若者を否定したがるものだが、公共マナーや能力(PCスキルや音楽など)は、若いヒトの方が高齢者を上回っていることが多い。ヒトの能力や資質というのは当然個人差があり、世代をひとまとめにして「最近の若者は」「大人は」などという評をしてしまうのはどうかと思うが、個人的には「最近の年長者は」と思うことが多いのも事実である。特に団塊世代と呼ばれる以上の世代の皆さん(もちろんすべてではない)が、公共マナーであったり、齢を重ねたことによる判断の重みであったりという部分で若者より不足していることを感じるヒトも多い。学校教育においても、教育制度よりも教師、親、社会と、大人すべてのレベルが落ちているのが問題の本質なのかもしれない。自分が学生時代勉強をせず、今も勉強していない親が子供に「勉強しなさい」と叱っても、子供が勉強することは無いのである。子供は大人を見て学ぶ。いい面も悪い面も。
 まず大人が変わらなければならない。子供に尊敬される知恵と人格を今からでも身につけなければならないのだ。でも私にはその資質がないので、然るべき方にお任せしたい。いつも言いっぱなしで逃げる私。

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Comments

ご指摘の団塊世代以上の人には「老害」に気が付いてない人も多いのは事実です。
逆に 最近の風潮として、合理的なものだけが価値があるすることには、寂しい思いをしています。

団塊世代の私は、田舎で「音楽村」を作り、子どもに合宿や音楽体験をしてもらうべく行政と折衝中です。

Posted by: 元ベース弾き | 2007.09.01 at 02:51 PM

元ベース弾き様。コメントありがとうございます。子ども達のための「音楽村」、素敵ですね。非常に興味がわきます。行政と折衝中、ということは夢のはなしではなく、かなり現実に近づきつつある、ということでしょうか。

Posted by: cornflake | 2007.09.05 at 10:18 PM

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