エアチェック
最近は誰でも簡単に高音質のCDをコンピュータに落としたりすることが可能になったため、コピーコントロールのCDが出たり、それに反発するユーザーやミュージシャンが出たりと、音楽の複製に関しては様々な問題が起こっているように見える。ちょっと前にナップスターの問題もあった。
しかし、我々オジサン世代の若い頃、それも昭和50年代終わり頃までは、音楽の複製というのはいまよりもっと盛んだったような気がする。まずは音源がレコード(買ったものかレンタルレコード)で、ダビング先がカセットテープだった。レコードはちょっとのホコリで雑音が入ったり、音源に傷がつきやすいなど不安定だったし、カセットテープもダイナミックレンジが狭いなど、多少の制約はあった。現在手軽に複製できるMDやCDと比べると、技術的に音質は遥かに及ばないのだが、一般リスナーにとっては、さして気になる差ではなかった。自分で編集したテープを人に聞かせることはあったとしても、「個人で楽しむ以外に他人に複製してばらまく」ということはあまりなかったと思う。
その他に特殊な複製パターンは、エアチェックというものだった。現在でこそAMラジオはステレオになっているし、FM局が多数あるが、当時はそのような環境ではなく、音楽をまともに聞けるのは、関東ではNHK-FMと、FM東京だけであった。そのため、FMの番組表や音楽情報が網羅された「FMステーション」や「FMfan」などといった、FMエアチェック専門誌がかなりの読者をつかんでおり、その番組表に基づいて保存したい局をラジカセやコンポで録音するという文化があった。番組ごとタイマーで予約録音するか、その曲に合わせて録音ボタンを押すといったテクニックを使うかしてリスナーは思い思いに曲を複製できた。ちょっと手間はかかるが、リスナーはミュージシャンや作曲家に1円も払うことなく、音楽を楽しむことができたのだ。
昨今の音楽不況は、コンピュータの発達により人々が音源を買わなくなったからだ、という批判からコピーコントロールCDは出来たようだが、複製のたやすさという意味では、レコードとエアチェックの時代だって、かなり自由なものだった。昔も今も音楽が好きな人なら、欲しい曲はお金を出して買う。はっきり言ってCDが売れないのは、誰もがいいと思えるソフトがないだけなのではないだろうか。
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